一般的な家づくりで唯一、工業製品のみで完結する空間、それがシステムバス。
システムキッチンや洗面化粧台等の検討は隣接する間取りや行き来する動線にも関わりますが、
システムバスによる浴室は壁や床、浴槽や設備、性能に至る全てを含めて一室として検討する、家づくりの中でもかなり特別な場所です。
概ねそれは商品選びに集約され、つまりはグレードと価格にどう折り合いを付けのるかという話。
価格帯でシステムバスの性能はどう変わる?
この記事では、価格帯別におけるシステムバスの規格や性能、デザインについて、各メーカーのラインナップと特徴を分かり易く解説しています。
この記事を読むことで、システムバスの検討がよりスムーズに行え、失敗しない家づくりを一歩前へ進める事が出来ます。
- システムバスのメリットを再確認
- 設置工事費の内訳を知っておく
- 規格・寸法の種類を把握する
- 商品の基本仕様を比較する
- 価格帯から予算に目ぼしを付ける
システムバスを選ぶメリットとデメリットを知って計画を立てる
浴室を造る選択肢には、
在来工法とユニット工法とがあり、さらにその中間的なハイブリット工法もあります。
在来工法とは、自由な造作とタイル張りに代表される昔ながらの浴室ですが、特にデザイン性に関して趣味嗜好への対応力が最も高い工法です。
ユニット工法は工場生産の部品・パーツを現場で組み立てる、近年の住宅では代表的な手法であり、ユニットバスやシステムバスと呼ばれています。
ハイブリット工法は浴槽と床(防水パン)をユニットとし、腰壁から天井にかけては在来工法で好きにデザインするので、多少特殊な平面・断面形状にも対応できる工法です。
この記事はシステムバスを選ぶポイントについての解説!
システムバスを選ぶメリット
システムバスを選ぶ最大のメリットはコスト。
設置工期は2~3日程度なので、手間ひまの掛かる在来工法と比べて人件費が大きく下がります。
また、ショールームでは商品のサイズや質感を確認できるので、実際の使用感は別としても出来上がりのイメージを持ち易いのも大きな利点。
さらに掃除のしやすさ、水はけの良さ、汚れの付きにくさ、高齢者や子どもにとっても使い易い工夫など、メーカーの商品開発力も魅力です。
そしてこれらが工場生産であるという点と、施工性にバラつきのない組み立てをもって、誰もがカタログ通りのお風呂を手に入れる事が出来ます。
- 工期が短く、コストが低い
- ショールームで実物を確認できる
- 一定の品質や性能を確保できる
システムバスのデメリット
多くのシステムバス商品は、ワンポイントのカラーパネルや小物入れ、水栓金具やシャワーヘッドなどのパーツ・色等の種類を選べますが、あくまでそれはメーカー仕様やオプション範囲内で。
浴槽サイズや形状、レイアウト、窓の位置や大きさの追加・変更は出来ない場合が多く、斜め天井や円形平面の様な個性的な浴室を希望する人には不向きな選択肢と言えます。
下表は代表的な一例ですが、他にもメーターモジュール対応の規格もあるので、住宅の工法や間取りと合わせた検討も必要です。
タイプ名称 | 呼称 | 内寸法 |
---|---|---|
0.75坪タイプ | 1216 | 1200㍉×1600㍉ |
1.0坪タイプ | 1616 | 1600㍉×1600㍉ |
1.25坪タイプ | 1620 | 1600㍉×2000㍉ |
1.5坪タイプ | 1624 | 1600㍉×2400㍉ |
- カタログ仕様からしか選べない
- 規格形状が決まっている
工事費の内訳
システムバスの工事費は「製品価格+設置費」で構成されます。
製品価格とはシステムバス本体そのものであり、自動車や電化製品と同じように選択する商品次第で金額が上下します。
では、設置費(取付工事費)にはどういった内訳項目があるのか。
以下は一般的な内訳例ですが、給排水管や電気配線は所定の場所まで施工済み、という前提で約25万円(税別)程度を見込んでおいた方が良さそうです。
品目(0.75~1.0坪) | 概算費用 |
---|---|
システムバス組立 | 97,000 |
給排水設備工事 | 18,000 |
電気設備工事 | 26,000 |
木工事_開口枠 | 25,000 |
諸経費 | 88,000 |
設置費合計の目安 | 254,000 |
システムバス組立の範囲についてはメーカー毎に様々です。
例えば、手すり1本から「オプション製品価格+設置費」として加算されるので注意が必要!
なお、設置作業はメーカー直営か指定業者である事を条件に保証期間を設けている場合も多いので、安売り業者の見積価格についてはメーカーに確認することも大事です。
浴室に窓は要るのか問題
よく話題に上がるので取り上げますが、浴室に窓は必要か不要か問題。
ずっと戸建住宅で生活してきた人であれば、もしかしたら何の疑問も持たずに自分の家づくりでも浴室に窓を設けるかも知れません。
しかしマンションやアパートで生活した事のある人にとっては、浴室に窓が無い生活も普通です。
- 採光がとれる
- 解放感がある
- 換気がしやすい
- そもそも窓を設置する費用がかかる
- 結露でカビやすく掃除が面倒
- 断熱・耐震・防犯性が低下
浴室に窓を設けるメリットとデメリットは、そのまま窓を設けない場合と逆転します。
私の結論は「不要」でしたが、建てたお家には結局、窓を設けました。
採光がとれるとか解放感があるというのは、当然ですが北側の浴室ではそれほど恩恵は無く、筆者の建てたお家もこれに該当します。
しかし換気がしやすいという点については、これは浴室の換気に限った話ではなくて、家中の換気という場合を含んで検討しました。
なぜなら風の通り抜けを考えると、浴室のある位置はどうしても空気がこもりがちだから。
他はデメリットの方が目立ちます。
建物の構造的に窓はそもそも弱点でしかないので、出来る事なら窓は減らした方が良いです。
浴室の湿気と外気との差で窓回りはカビが生えやすいので掃除が面倒な人にも不向き。
最近は自然光に近い照明もあるので、明るさ的にも窓が無くても問題ないかも知れません。
浴室が南側にあるとか、どうしても取り入れたい景色があるとかでなければ、窓を設けるかどうかの判断は、換気という一点に絞ってみるのもアリです。
スマートホーム化でもっと便利に!
システムバスは上位モデルになるとスマートホームに対応します。
例えばTOTOの『つながる快適セット』では、外出先のスマートフォンから浴室暖房や浴槽掃除、お湯張りの操作などが可能で、入浴後もスマートスピーカーへの一声でお掃除を開始。
これから家づくりを始める人は是非、取り入れてみたい装備です。
普及価格帯システムバスの仕様はとってもリーズナブル!
カタログ価格で30万円台からのシステムバスは、機能面でのコスパも良く、注文住宅を始めリフォームでも多くの支持を集めます。
長時間な入浴ではない人や、お風呂は最低限の機能として予算を他の物に割きたい人にとっては上手に活用したい選択肢。
ただし、手すりやタオル掛もオプションにした商品も多く、後付けも含めてそもそも高機能なオプションに非対応だったりもするので注意が必要です。
普及価格帯①
ミーナ|タカラスタンダード
標準仕様「PLAN1:1616」
- カタログ価格:37.9万円(値引相場10〜15%)
- スクエア浴槽(ホワイト)
- 浴室アクセントパネル(デニムブルー)
- ワイドカウンター(ホワイト)
- 洗い場用水栓サーモスタット・樹脂ホース
- 折戸(ホワイト)樹脂ガラス半透明
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
浴室全体パーフェクト保温や震度6相当に備えた耐震設計が標準装備。また壁面パネルはどこにでもマグネット収納が取り付けられるので小物整理に便利であったり、ちびっこ画伯の落書きも簡単に洗い流せる子育て世帯を応援する仕様。
普及価格帯②
エブリィ|トクラス
標準仕様「ベーシック:1216」
- カタログ価格:78.9万円(値引相場15〜20%)
- 折戸(かすみ面材)
- 浴室アクセントパネル(リップルグリーン)
- ポップアップ排水栓
- 巻きフタ
- うつくしフロアW(ホワイト)
- キューブ型照明(LED)1灯
- 一般水栓(壁付け)
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
1991年ヤマハリビングテック㈱から社名変更を経て創業45年の安心の実績。従来は自社開発の人造大理石を用いたキッチンやバスタブを得意とし、魅力的なオプションが豊富。ただし住宅会社によっては取り扱いしてない場合もあり。
普及価格帯③
エメロード|タカラスタンダード
標準仕様「PLAN1:1616」
- カタログ価格:51.2万円(値引相場10〜15%)
- ラウンド浴槽(プレミアムステンレス)
- 浴槽ハンドグリップ1本
- キープクリーンフロア(ホワイトグレー)
- 排水口カバー(ステンレス)
- 浴室アクセントパネル(コンクリートグレー)
- 洗い場用水栓サーモスタット・樹脂ホース
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
浴槽はメタリックな輝きとシャープなエッジが特徴のタカラが誇るステンレス製。床面は磁器タイルならではのしっとりとした肌触りとお手入れのしやすさを兼ね備えたキープクリーンフロアを採用。全価格帯でも検討すべき商品。
中級価格帯システムバスの仕様はデザイン性と実用性を兼ね備える!
カタログ価格100万円以上となるシステムバスでは、入浴時間をゆったりとくつろげる空間とするための工夫が随所に取り込まれています。
各メーカー共、人間工学に基づいた浴槽の設計や日常的に掃除がしやすい造りとなっていて、概ね標準仕様のままでも申し分ないラインナップ。
お風呂に快適さを求める方はこの価格帯からの検討がおススメです。
中級価格帯①
サザナ|TOTO
標準仕様「Pタイプ:1616」
- カタログ価格:108.9万円(値引相場8~15%)
- ゆるリラ浴槽(FRPホワイト)
- お掃除ラクラクほっカラリ床
- お掃除ラクラク排水口(抗菌・防カビ仕様)
- シーリング照明(LED)電球色
- コンフォートウエーブシャワー(メタル調)
- コンフォートシャワーバー(手すり兼用)
- お掃除ラクラクカウンター(人工大理石)
- スッキリドア折戸(800×2000)ホワイト
- つながる快適セット対応
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
多くの住宅会社がお客様へまず始めに提案する理由は、住まう人と施工する側の間でイメージの相違が少ないから。「サザナ」から検討するのが家づくりにおけるシステムバス選びの王道となりつつある、そんな安心の選択肢。
中級価格帯②
リデア|LIXIL
標準仕様「Bタイプ:1616」
- カタログ価格:129.0万円(値引相場15~20%)
- プッシュワンウェイ排水栓(メタル調)
- サーモバスS
- 薄型保温2枚組フタ(ホワイト)
- 天井換気扇
- うるつや浄水
- スライドフック付握りバー(メタル調)
- パネルダウンライト(昼光色LED)2灯
- ワイドミラー
- スマートエスコートバー(ファブリック調B)
- タオル掛け(メタル調)
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
LIXILが誇るリデアブランドの魅力は標準仕様に含まれる装備の豊富さ。本体と比較してオプションの値引率はちょっと悪くなるのが相場であるため、色々と含まれる基本プランは選択肢として外せない。
中級価格帯③
プレデンシア|タカラスタンダード
標準仕様「PLAN1:1616」
- カタログ価格:103.8万円(値引相場10~15%)
- 浴槽(鋳物ホーロー)
- 浴槽ハンドグリップ1本
- 高光沢フラット天井
- タオル掛け(クリアタイプ・ブラック)
- 断熱風呂フタ
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
タカラ最上位プレデンシアはオプションで理想の浴室を作り込むため標準仕様では中級価格帯となる。「くつろぎラウンジ浴槽」や「ストレートライン照明(調光機能付)」等を付け加え、高級価格帯と合わせて検討したい。
高級価格帯システムバスの仕様は「癒し」と「くつろぎ」の追求!
暮らしの中で入浴こそが最高のくつろぎ時間だと考える人は、絶対に検討すべき各メーカーの最上位モデルのラインナップ。
浴槽やシャワーの機能、調光・調色の照明、空調も含め、入浴におけるリラックスを構成する全ての要素を快適に整えてくれます。
高級価格帯①
シンラ|TOTO
標準仕様「Gタイプ:1616」
- カタログ価格:228.9万円(値引相場10〜18%)
- ファーストクラス浴槽
- 肩楽湯(照明付き)・腰楽湯
- 調光調色システム
- お掃除ラクラクほっカラリ床
- 床ワイパー洗浄(きれい除菌水)付き
- お掃除ラクラク排水口(抗菌・防カビ仕様)
- 暖房換気扇(抗菌・防カビ仕様)
- 人工大理石カウンター
- オーバーヘッドシャワー
- コンフォートウエーブシャワー(3H・メタル調)
- スライドハンガー付インテリアバー(メタル調)
- 開き戸W800プラチナステン(透明強化ガラス)
- つながる快適セット対応
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
TOTO最上級グレード。入浴感を科学した浴槽と、肩かけ&腰あての「楽湯」が生み出す至福のファーストクラス体験に注目。創り出されるワンランク上のバスタイムで1日をリフレッシュしたい、至極の選択肢。
高級価格帯②
スパージュ|LIXIL
標準仕様「PZ:1620 BA72B」
- カタログ価格:275.8万円(値引相場15~21%)
- グランフィット浴槽(ワイド)グランザ
- ヘッドレスト(ホワイト)
- プッシュワンウェイ排水栓(メタル調)
- 浴槽内握りバー(メタル)
- サーモバスS
- 薄型保温2枚組フタ(ホワイト)
- 3点式組立フタフック(メタル)
- エプロン/ファブリック調ダーク
- 天井換気扇
- 強化ガラスドア(ブラックスモーク)
- ベンチカウンター
- ライン照明LED調光調色
- アクアフィール(肩湯・肩ほぐし湯・腰ほぐし湯)
- その他、詳細は公式ページ参照。
※画像には一部オプションを含んでいます。
LIXILが誇る最上級モデル。肩湯や打たせ湯、オーバーヘッドシャワーなど様々な「かたち」の湯を楽しめる。深いくつろぎのもと、間接照明の中で包まれる入浴時間が明日への活力を提供してくれる、至高の選択肢。
高級価格帯③
アクリアバス|クリナップ
標準仕様+オプション「PLAN23:1616」
- カタログ価格:208.4万円(値引相場15~23%)
- 足ピタフロア、スムーズ浴槽、断熱組フタ
- スリムロングミラー、フラット水栓
- 床夏シャワーカウンター、換気扇
- ダウンライト照明、折戸or開き戸、他
- クリアフレーム(シャンパングレー)
- 足裏マッサージジェット
- 壁付け照明2灯
- 温水式ミスト機能付き換気乾燥暖房機
- 浴槽ハンドグリップ、スライドバー
- ワンタッチ水栓
- コンフォートウエーブシャワーヘッド
- その他、詳細は公式ページ参照。
※カタログ価格に窓サッシは含まない。
クリナップ最上位モデルでありながらフル装備オプションで検討できるリーズナブルさが魅力。誰にでも優しいデザインはストレスなくスムーズな入浴を可能とし、汚れが付きにくいので清潔さをキープできる、最終候補と成り得る選択肢。
あとがき:住宅会社の得意・不得意を見極める
システムバスを選択するメリットを理解したら、どの商品を選ぶことが家族にとって最適か。
慎重に検討していきたいところですね。
住宅会社によって得意なメーカー、不得意なメーカーは異なります。
得意とは何か?
頻繁に取り引きしているので、安く仕入れられる、大きく値引きができる。
不得意とは?
あまり安く仕入れる事ができない、そもそも取り引きしていない、など。
家づくりのパートナー選びに住宅設備機器の仕様は重要なポイントと成り得ます。
『家づくりノート』を作ろう!
家づくりは長期戦!
まずはスロースタートで、じっくり検討する期間が大切です。
『家づくりノート』を作れば、
家族でイメージを共有しながら打ち合わせを進めることが可能!
- 要望や方向性の整理
- 資金計画
- 住宅会社選び
- 土地探し
- 間取り・仕様の比較検討
- 家づくりの希望条件、考え方を整理
- 家族で住まい方のイメージを共有
- 日程や期日など共有スケジュールを確認
- 住宅会社へ明確に伝えやすいくなる
▼家づくりノートの作り方をとことん解説!
それではぜひ、楽しいライフスタイルを !
To Be Continued …