「注文住宅の坪単価ってどれくらい?」
「坪単価×面積で家づくりの目安にしたい!」
注文住宅の家づくりでは何かと気になる坪単価。
私たちはハウスメーカーや工務店を比較する時、何となく坪単価を1つの目安にすることがある一方、「そうは言ってもただの参考程度」と捉えている人も多いはず。
しかしその「参考程度」がまるで的外れな参考であるよりも、少しでも合理性のある参考の方がより精度の高い比較検討を可能にしてくれます。
実は多くの人が間違った解釈をしている可能性もある坪単価。
【この記事の結論】
- 坪単価の比較は算出条件を揃えること
- 坪単価よりも予算総額の比較がおすすめ
この記事では、注文住宅の家づくりで合理的な参考としたい「坪単価」について解説!
この記事を読むことで、坪単価の正しい解釈が得られ、注文住宅の家づくりで無駄な比較検討をしなくて済むようになります。
注文住宅の家づくりで見かける坪単価の計算方法について
1坪とは3.30579㎡で、およそ畳2帖分。
地域によって畳の規格はまちまちですが、坪数計算では「中京間(182cm×91cm=1.656㎡)」を用いて検討します。
なぜなら現在では地域に関係なく、専門業者が居室等の広さを畳数で表示する場合、「不動産の表示に関する公正競争規約(表示規約)」に基づいて畳1枚当たりの広さを「1.62㎡以上」で表記しなくてはならないためです。
坪数×2 が畳数のイメージ
1坪 = 2帖 = 約6.6㎡
2坪 = 4帖 = 約13.2㎡
3坪 = 6帖 = 約19.8㎡
そして坪単価とは、1坪あたりの住宅価格という意味です。
坪単価の計算方法は、
①価格(円) ÷ ②面積(坪)
ここで重要なのは、
①価格に含まれるのは何か?という点と、②面積に含まれるのはどこまでか?という点。
つまり計算式の要素が2つとも、自由に決められるという事実があります。
坪単価の算出には規定がない!?
注文住宅を検討している人にとっては、住宅費用に何かしらの目安があった方が良いというのは事実なので、決して坪単価という考え方が不適切という訳ではありません。
しかし、坪単価の表示は各ハウスメーカー・工務店によってバラバラな算出なので注意が必要。
場合によっては、各ハウスメーカー・工務店が積極的に坪単価を提示していないにも関わらず、様々なウェブサイト等が独自に算出しているケースも。
坪単価の計算や表示については、何か資格が必要であったり法的なルールがあるという訳ではありません。
価格に含まれる範囲について
住宅メーカーにもよりますが、坪単価の計算に用いられる価格とは、主に本体工事費の範囲を指しています。
本体工事とは木工事や屋根・外壁工事、内装工事や設備工事など、家そのものを造る費用です。
この他、宅地整備や外構工事などの付帯工事や、申請手数料や土地・建物取得に係る税金などの諸経費は含まれない場合が一般的。
当然、坪単価の計算に用いる「価格」が増えれば増えるほど、坪単価は高くなります。
住宅メーカーによっては、一般的な本体工事から様々な項目を差し引いて坪単価を低く見せる場合もあります。
見積の内訳項目についてはコチラの記事で解説!
面積に含まれる範囲について
これも住宅メーカーによるところで、坪単価の計算に用いられる面積が建築基準法に定められる延床面積とは限りません。
たとえば、インナーガレージの面積が延床面積の5分の1以下であれば、それは延床面積に含まれないし、直上階や直下階の2分の1以下の面積で最高天井高1.4M以下の空間(中二階などの蔵、物置)なども延床面積には含まれません。
もちろん、実際には相応の工事費が発生していることが分かるので、それは坪単価の検討に加えたいところです。
しかし住宅メーカーによっては、屋根の庇(ひさし)部分も「面積」に加えて坪単価を算出しているところも。
重要なポイントは、坪単価の計算に用いる「面積」を増やせば増やすほど、坪単価は低くなるということ。
坪単価は過去の実績でしかない
いずれどんな算出方法であれ、坪単価は過去の実績でしかありません。
野球で言うところの打率や防御率と一緒です。
たとえば打率5割のバッターが次の試合も2打席に1回、必ずヒットを打てるとは限らないのと同じ。
つまり、必ずしもその坪単価で自分の建てたい家が建つとは限らないという事です。
これが「坪単価×建てたいお家の面積」で、単純に住宅価格をイメージしてはならない理由。
ハウスメーカーや工務店の坪単価を比較するポイント
ハウスメーカーや工務店がそれぞれバラバラの算出方法で坪単価を提示しているのであれば、私たちはそれを整理して検討しなくてはなりません。
坪単価の計算は条件を揃えて算出する
坪単価の計算「①金額÷②面積」の内、
まず「①金額」については知り得る限りすべての金額の合計を用いるべきです。
その理由は、住宅メーカーによってバラバラな本体工事や付帯工事の振り分けにモヤモヤする必要がなくなるから。
次に「②面積」については、建築基準法によって除外されることの無いすべての延床面積、つまり施工面積を採択しましょう。
インナーガレージでもバルコニーでも、とにかく工事費の掛かる全ての床面積を採択すべき。
なぜなら、居室であろうと物置であろうと、実際にその空間を造るために発生する工事費があるのであれば、坪単価を求める「①金額÷②面積」の概念に適しているからです。
ただし、屋根の軒先まで施工面積に加えるのは少しニュアンスが違ってくるので無し。
そして建物本体に後付けするウッドデッキやベランダ等も面積から外し、あくまで建物本体に関わる施工面積とするのが望ましいです。
坪単価の比較は、算出条件を揃えることではじめて、複数社の見積もりや間取りプランを合理的に検討することが出来ます。
坪単価の計算で用いる平均値について
たとえば、住宅メーカーA社が販売した10棟の施工面積の合計が338坪で、住宅価格の合計が2億6,182万円だとします。
すると、A社の坪単価は「2億6,182万円÷338坪」で77.5万円という表示になります。
A社の実績 | 延床面積 | 住宅価格 | 坪単価 |
---|---|---|---|
a 様邸 | 35坪 | 2,625万円 | 75万円 |
b 様邸 | 40坪 | 2,600万円 | 65万円 |
c 様邸 | 30坪 | 2,400万円 | 80万円 |
d 様邸 | 25坪 | 2,250万円 | 90万円 |
e 様邸 | 28坪 | 2,436万円 | 87万円 |
f 様邸 | 32坪 | 2,496万円 | 78万円 |
g 様邸 | 26坪 | 2,470万円 | 95万円 |
h 様邸 | 35坪 | 2,905万円 | 83万円 |
i 様邸 | 42坪 | 2,940万円 | 70万円 |
j 様邸 | 45坪 | 3,060万円 | 68万円 |
合計 | 338坪 | 2億6,182万円 | 77.5万円 |
前述した坪単価の計算「①金額÷②面積」における対象範囲は、すべて同一条件とします。
これで、これから家づくりをする人にとってこの坪単価は参考になるでしょうか?
結論的には、何の役にも立ちません。
その理由は、これから家づくりをする人が希望する面積を度外視して、全体の平均値を採択しているからです。
たとえば30坪の家を建てたいと思う人にとっては、上記表の45坪や25坪の事例を混ぜた平均値では意味がありません。
なぜなら、工事金額にはスケールメリットがあり、小さい施工面積は坪単価が上がり、大きな施工面積は坪単価が低くなるからです。
30坪のお家を建てたいと考える人にとって有益な坪単価は、30坪の事例だけを集計したものから算出するのが最適でしょう。(厳密にはプラマイ2坪までは許容範囲かと)
ということで、30坪のお家の坪単価を知りたい場合は上記表の中から「c様邸」「e様邸」「f様邸」だけの平均を用いることが最も現実的となります。
3つの合計と坪単価は「7,332万円÷90坪」で81.5万円という事になり、10棟で算出した坪単価よりも4万円も高くなるのが分かります。
いずれ平均値なので、もちろん建物の形状によって一概には言えない部分もありますが、より希望に近い形で坪単価を算出した方が、後から見込み違いや予算オーバーとなってしまう可能性を低減させることが出来ます。
さらにB社やC社等とも比較して、同じように条件を揃えて坪単価を検討する必要があるので、一概に坪単価の比較は簡単ではありません。
しかもこの算出に必要なデータを無条件で提供してくれる住宅メーカーも少ないでしょう。
したがって自分である程度の情報収集と計算が必要になり、この手間を掛けられるかどうかで坪単価の扱い方が変わってきます。
注文住宅でハウスメーカーを正しく比較する方法
新規顧客の間口を広げたい住宅メーカーは、表示する坪単価を相場より低めに設定するでしょう。
逆に、ブランド力の高い住宅メーカーの坪単価は、はじめから振るいに掛けるつもりで高めの坪単価を表示している可能性があります。
いずれどんな価格帯であっても、ド直球に真に受けてはならないのが坪単価です。
前述した手法で仮により精度の高い坪単価を算出できたとしても、現実的にはあくまでその住宅メーカーへ相談してみようかどうかの入口に立つだけ。
実際には坪単価の比較だけで、注文住宅の依頼先を決める決定打にはならないでしょう。
注文住宅の家づくりでは、坪単価よりも建物総額で比較した方がずっと楽であり、有意義な検討となる可能性が高まります。
したがって坪単価の情報は、住宅メーカーへアプローチするきっかけ程度に留めるのがおすすめ。
そしてハウスメーカーや工務店の比較には、予算の総額を伝えた上で、それぞれから間取りプランの提案を受けた方が良いでしょう。
予算を伝えると足元を見られる様で気が引けますが、予算も含めた同一条件でプランを比較した方が合理的に住宅メーカーを検討できます。
家づくりで後悔しないためには、情報収集が大切!
なお、ハウスメーカーへ資料請求する際は、各社のHPから毎回個人情報を入力するのが面倒であれば、一括お取り寄せサービスが便利です!
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まとめ:住宅メーカーの坪単価を計算・比較する注意点!
坪単価は「①金額÷②面積」で求められますが、①金額や②面積の範囲についてはハウスメーカーや工務店によって各社バラバラ。
したがって、カタログやネット等で見かけるハウスメーカー・工務店の坪単価については、注意深く参考程度に活用しましょう。
坪単価は住宅予算を決めるものではなく、あくまで住宅メーカーへアプローチするかどうかの目安。
注文住宅の家づくりでは、予算の総額から間取りやプランの提案を比較することで、自分に合ったハウスメーカーや工務店を知ることが出来ます。
住宅メーカーは無数にあります。
その中から自分の家づくりに最適なパートナーを見つけ出すのはとても至難の業。
まずは情報収集に努め、情報を整理し、家族で情報を共有していきましょう!
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家づくりは長期戦!
まずはスロースタートで、じっくり検討する期間が大切です。
『家づくりノート』を作れば、
家族でイメージを共有しながら打ち合わせを進めることが可能!
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- 住宅会社へ明確に伝えやすいくなる
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それではぜひ、楽しいライフスタイルを !
To Be Continued …