家づくりでは、できるだけ広く間取りを構えたいと考えるのは当然のことです。
別に豪邸が欲しい訳じゃないにしろ、あまりに窮屈な暮らし方は回避したいと願うもの。
だからと言って希望だけで検討を始めると、もしも小さな間取りへの変更を余儀なくされた場合、家づくりの思考整理がとても困難になります。
それは家全体としての間取りだけではなく、水回りやリビングなど部分的な間取りについても。
まず小さい間取りやその動線の意味を先に知ることで、もし大きな間取りへの方向転換の機会があった際には有益に話を進められるよう、家づくりを考えたら読んでおきたいおすすめの一冊。
『小さな家の間取り解剖図鑑』
- 狭小住宅の快適な間取り例
- 2階LDKや水回りなどの動線アイディア
STEP1
これから家づくりを考える人
STEP2
住宅会社との打合せを始めた人
STEP3
見積や図面の精査が始まった人
STEP4
契約済み・着工済みの人
STEP5
すでに家を建て終えた人
この記事では、書籍『小さな家の間取り解剖図鑑』を実際に購入して読んでみた分かった内容について解説しています。
この記事を読むことで、家づくりを検討するどんな人に必要な本なのかを知る事が出来ます。
「小さな家の間取り解剖図鑑」の概要・要点について
書籍の概要
タイトル | 小さな家の間取り解剖図鑑 |
著 者 | 本間 至 |
出版社 | エクスナレッジ |
初版発行 | 2017年9月1日 |
通常価格 | 1,980円(1,800円+税) |
ページ数 | 184ページ |
判型 | A5判 |
著者プロフィール
- 本間 至(ほんま・いたる)一級建築士
- 1956年生まれ、日本大学理工学部建築学科卒
- 本間至/ブライシュティフト設立
- 1995年NPO法人家づくりの会理事長
- 2009年NPO法人家づくり学校の開校に参加
- 住宅設計の実務を若手住宅設計者に始動
- 2010年日本大学理工学部建築学科非常勤講師
- 主な著書/「最高の住宅をデザインする方法」「最高に楽しい〔間取り〕の図鑑」「本間至のデザインノート」「いつまでも快適に暮らす住まいのセオリー101」など
この本の要点
本書のメインテーマである『コンパクトにつくり、豊かに暮らす住まいの仕組み』の通り、著者である本間さんの”小さな家づくり”に対する熱い想いが沢山の優しい言葉で綴られています。
特に都会の狭い敷地にどうやって快適なお家を建てるのか、という基軸によって展開される実例41件もの間取りプランは、平面的に立面的にとても分かり易いイラスト及び図面付きで解説。
その数なんと340点以上!(一応、数えた)
さらに表や図解もあって、十分な読み応えと理解が深まる読みやすさです。
住宅は大きければ住みやすいと言うのは大間違い、小さくてものびのびと居心地よく暮らすヒントは間取りにある!
というコンセプトで、私たちの家づくりに様々な提案をしてくれます。
▼本書のコンテンツをご紹介。
- 人数と延べ床面積の関係
- 家族4人・26~28坪でも夢はかなう
- 小さな家の間取りは矩形が基本
- 敷地の個性を間取りの個性にする
- 階段の位置こそが「要」
- スペースのつながりで広がりをつくる
- 生活からコンパクトな寸法を決める
- 収納計画は適材適所
- 光を採り入れ、風を抜く
- 縦空間を有効に使う
- 上に伸びるか、下に伸ばす
- スムーズな生活動線をつくる
- ゾーニングとはなにか
地上2階建ての正しいゾーニング - 地上3階建てはサニタリーの位置が重要
- 地下+地上2階建ては地下の用途に注意
- 4層は中間階にサニタリーを置く
▼340点以上の図解で分かる家づくりのヒント!
「小さな家の間取り解剖図鑑」はこんな人におススメしたい!
著者の本間 至さんは、建築学科で講師を勤めてきた経歴の持ち主。
さすが数多の建築士を育ててきただけあって、家づくりの様々なアディアが図解解説でとても分かり易くまとめられている印象です。
この本はこんな人におすすめ!
本書にある間取りプラン例は、おそらく著者の建築実績が都心部に集中していた賜物と見受けられ、狭い土地でいかに楽しく幸せな住宅が建てられるか、という点に物凄く特化しています。
したがって、敷地面積が狭いなどの理由で選択肢として小さな家づくりしかないという人は、この本を絶対に外すことが出来ません。
というより、この本を読まずして住宅営業マンと狭小住宅の打ち合わせを進めるというのは、ちょっと勿体ない。
なぜなら、この本には狭い土地でも快適に暮らせるアイディアがたくさん詰まっているから。
生活動線の工夫の仕方は必見!
この本が不要と思われる人
敷地に余裕があって、3階建てや地下構造など住宅をタテに作る必要性が無いという人にとっては、この本の方向性は少し合わないかも知れません。
なぜなら本書は、狭くて小さい土地でどんな家を建てようかと困っている人へ向けて、様々なアイディアやヒントを提供してくれる本だからです。
とはいえ予算に限りがある以上、住まいを快適に効率良くする為に必要な間取りのルールを、最も厳しいと思われる土地の条件下でいくつも解説しているので、きっと誰にも応用が利くはず。
広大な土地にお屋敷を建てたい人には全く参考にならない本。
住宅ブロガーとして「小さな家の間取り解剖図鑑」を読んでみた感想
当サイトを運営する筆者もまた住宅ブロガーの”はしくれ”であるので、家づくりを検討する人にとってそれがどのように役に立つ情報なのかを考えながら読んでいます。
その中では当然、共感する部分もあれば生意気に疑問を感じることもある訳です。
あくまで一個人の感想として参考までに。
住宅ブロガーとして共感する点
”共感”と言うには大変恐れ多い、狭小住宅のアイディアがてんこ盛りです。
それは驚きと勉強になることばかり。
推測ですが、本書を実用書的に活用した経験のある住宅関係者も多いのではないでしょうか。
たとえば部屋同士のつなげ方で抜け感や広がりを確保したり、収納の位置や量はしっかり計画、採光や風の採り入れ、生活動線の捉え方など、どんな家づくりにも通ずる普遍的な考え方を再確認。
本書の冒頭では、
「間取りを考えることは家づくりの出発点。特に広さが限られる小さな家では、間取り次第で暮らし方に大きな影響が出る」と述べられています。
著者のこの想いは、本書を手に取ると全編にわたってよく伝わってきます。
住宅ブロガーとして疑問に思う点
大前提として、家づくりを考え始めた人にとってこの本がとても参考になるのは間違いないです。
それは、本書が都会の狭い土地へ有効に対応してきた実例41件をもとに、小さな家の間取りにいくつもの解決策を示してくれるからです。
しかし、小さな家の間取りと小さな家づくりはイコールではありません。
おそらく著者も意図して使い分けていると思うのですが、全編を通して本書では一度も『小さな家づくり』とは記述されていないです。
(見落としてたらすみません!)
つまり、
狭い土地であるが故に、小さな家の小さな間取りになる。
それでも快適なお家にするために、小さな家の間取りにはこんな工夫をしよう!
と、これが本書のメインテーマです。
一方で、小さな家づくりとは土地の面積や形状に従うだけではありません。
広い敷地であっても、
『必要以上に家を大きくしない、コンパクトで豊かに暮らせる家を建てるには?』というテーマが、”小さな家づくり”の真髄だと言えます。
割合はかなり少ないながらも、本書にも一応「敷地が広くても小さくつくる」という記述があります。
これが逆に、その他の記述がすべて狭い土地に独特に対応した狭小住宅である事を意味しています。
この本では限られた選択肢から最適解を見つけ出す狭小住宅のヒントがたくさん得られますが、格好だけをマネて地方の広めの土地でやろうとすると、余計にお金が掛かる場合もあるでしょう。
もし読者がそんな勘違いをしてしまうとしたら、それは本書のあまりに分かりやすく優しい言葉と、丁寧なイラストで図解された量の多さによる影響のせいかも知れません。
『狭小住宅の間取り解剖図鑑』!?
まとめ:「小さな家の間取り解剖図鑑」は狭小住宅を快適にする!
小さな家の間取りを考える上で大切なことはすべて本書で手に入れることが出来ます。
そして本書に示される暮らしの動線や間取りの考え方は、どんな家づくりにもきっと参考になることでしょう。
それは家全体としての間取りだけではなく、水回りやリビングなど部分的な間取りについても。
小さい間取りやその動線の意味を先に知っておけば、大きな間取りへの方向転換の機会があった際に大変有益に話を進められるので、この本は家づくりの検討におすすめです!
▼340点以上の図解で分かる家づくりのヒント!
知識を補完したら、今度は住宅のプロが個別に寄り添った意見を出してくれる無料サービスも活用してみると良いでしょう。
何せ個人的な空想だけでは限界もあるので、実際に家を建築するハウスメーカーや工務店の意見もいくつか参考に聞いてみたいところ。
後悔しない家づくりには実践あるのみです。
『家づくりノート』を作ろう!
家づくりは長期戦!
まずはスロースタートで、じっくり検討する期間が大切です。
『家づくりノート』を作れば、
家族でイメージを共有しながら打ち合わせを進めることが可能!
- 要望や方向性の整理
- 資金計画
- 住宅会社選び
- 土地探し
- 間取り・仕様の比較検討
- 家づくりの希望条件、考え方を整理
- 家族で住まい方のイメージを共有
- 日程や期日など共有スケジュールを確認
- 住宅会社へ明確に伝えやすいくなる
▼家づくりノートの作り方をとことん解説!
それではぜひ、楽しいライフスタイルを !
To Be Continued …