「注文住宅ってこんなに高いの~!」
「もっとコストダウンできる点はない?」
家づくりで必ず立ちはだかる予算の壁。
「大丈夫!インスタでコストダウンのポイントは押さえた!」
とは言っても、そもそもの工事内訳を理解して、何にどれだけお金が掛かっているのかを知らないと正しいコストダウンも出来ません。
で、何となくぼんやりと「得した」ような、「損した」ような気分でモヤモヤしちゃいます。
この記事では、家づくり・注文住宅の見積書における「本体工事費」の内訳項目について、工事内容や見るべきポイントについて詳しく解説!
この記事を読むことで、工事契約のために理解しなくてはならないポイントを網羅でき、誰でも住宅の本体工事の内訳について理解することが出来ます。
注文住宅の見積書「本体工事」の内訳比率は約70%!
本体工事とは見積総額のおよそ7割以上を占める、住宅建築工事の基幹となる範囲。
基礎工事から木工事、住宅設備機器、内装工事、塗装工事など、居住空間を造るために必要な様々な工種が、内訳として本体工事に組み込まれています。
なお、本体工事には基礎工事前の地盤改良や、建築工事とは別の外構工事などは含まれていません。
また、施主の要望に沿ったプランや仕様によって総額が大きく変わるのも特徴で、内訳の1つでこだわった要望が、必ずしもその工種だけで完結するとは限らず、工事全体に連動して見積金額が変化する場合もあります。
予算との戦いは、おおむねこの「本体工事」になります。
広告でよく目にする『家』の価格とは、概ねが「本体工事費」のみ、或いはその一部から表示されている。「坪単価」についても「本体工事費」のみからの算出である場合が多い。
▼付帯工事費についてはコチラの記事で解説!
▼諸経費についてはコチラの記事で解説!
注文住宅の見積書「本体工事」の内訳項目は約20項目!
当記事ではイメージしやすいよう、内訳の構成比率を記載しています。
以下の注意点を合わせて読み進めて下さい。
『説明用のサンプル設定』について
- 木造軸組在来工法
- 間取り3~4LDK
- 延床面積30坪程度
- 総二階建て
- 地方都市をイメージ
- 内訳比率はあくまでイメージです。
- 仕様やプランによって全く異なります。
間取りや仕様によって内訳比率が変わってきます。
本体工事 01
仮設工事
仮設工事の「仮設」には2つの意味があります。
1つ目は敷地の仮囲いや足場の敷設、電源やトイレの確保と言った、現場を始める為に必要な準備工事としての意味合いです。
2つ目に資機材や製品の養生、発生材の処分や清掃など、現場を進めていく中で必要な維持・保全としての意味合いです。
いずれ「仮の設備」なので工事終了時には全て取り払われる作業なのですが、適切な予算を見込んでおかないと工事を始める事も進める事も出来ません。
▶仮設工事費は、
土地の敷地面積や形状、前面道路の幅員や交通量、建築物の形状や高さ、工期などによって金額が左右される項目です。また都心部では敷地や道路が狭く、工事車両の駐車場代についても高額となる場合が多いので、上記構成比率例の3倍以上の想定もされます。
①仮設準備工(式)
②現場保全工(月)
③外部足場損料(㎡)
④内部足場損料(㎡)
⑤駐車場料金(月)
etc
※仮設工事は「期間」で数量を示す場合が多い。
本体工事 02
基礎工事
基礎は住宅を足元から支える、構造上とても大事な部位です。ここでは一般的なベタ基礎をイメージしています。
初めに厚さ50㍉程度の均しコンクリートを敷設します。次に鉄筋を配筋し、型枠を建て込みます。そして生コンを打設した後、養生期間をもって型枠を脱型して、基礎の形が出来上がります。
▶基礎工事費は、
1階の床面積や形状、想定される建物の重量等から決定される基礎の幅や高さ等によって、金額が大きく左右されます。ベタ基礎スラブは面積で、基礎立ち上がり部分は長さで計算しますが、平面的に正方形に近い建物の方が施工性が良いので、費用を安く抑えられます。
なお,、大抵の住宅会社はコンクリートが必要な工事を全てここに組み込みます。例えば浴室や玄関の土間コンも一緒に打設する事で、工期や原価の効率を図ります。
①ベタ基礎部(㎡)※厚さtの仕様表記あり
②立上がり部(M)※幅・高さの仕様表記あり
_1.均しコン(㎡)
_2.鉄筋コンクリート(㎥)
_3.土間コン(㎡)
_4.打設手間(㎥)
_5.型枠損料(㎡)
_6.鉄筋鋼材(t)スペーサー等含む
_7.運搬諸経費(式)
etc
本体工事 03
木工事
木工事はいわゆる大工さんによる工事で、住宅構造の骨組みや面材を造り込む木材や建材、部材を連結する金物、釘やビス等の消耗品と言った材料代の他、大工さんの加工や組立の技能が集約された内訳です。
内訳比率の例からも分かる通り注文住宅の多くをこの木工事が占めています。したがってその現場に最も長く居る事になるのが大工さんであり、他のどの職種よりもその家に対する思い入れを強く持って仕事をしてくれたりします。(何なら施主よりも愛情が深い場合もある。)
工事中には得てして予期せぬ追加作業が発生したりします。そんな時、どの職種にも該当しない工事やどの職人にも頼めない様な作業まで面倒を見てくれるのも大工さんです。予算面では色々と検討する事も多いとは思いますが、木工事における減額を考える際は本当にそれで工事が成り立つのか、専門的な意見を注意深く参考にする事をお勧めします。
▶木工事費は、
建物の形状や面積、高さ、必要な強度や性能等、使う材料の数量や手間・難易度、工期によって工事費は大きく影響を受けます。なお、総二階建ではない下屋のある住宅形状であれば内訳比率は上記例よりも高くなります。
①木材費
_1.構造材(㎡)土台・床組・柱・梁等
_2.造作材(㎡)敷居鴨居・建具枠・床の間等
_3.表し材(㎡)仕上げ加工費等
※ヒバ、松、集成材等の木材名をそれぞれ記載。
②大工手間
_1.大工(㎡)
_2.手元(㎡)
_3.建方(人工)
_4.消耗品(㎡)釘、ビス、接着剤等
③構造金物
_1.継手金物(式)平金物、通しボルト等
_2.鉄板加工(式)竪ブレース等
④プレカット費(式)現場加工含む
⑤運搬・運搬費(式)
etc
本体工事 04
屋根板金工事
屋根工事は屋根葺き(ふき)とも言われる工事です。
屋根工事は瓦や鋼板を用いた屋根葺きの他に、破風の板金や雨どいの取り付けも含まれます。雨漏りがあってはならない、熟練の腕が必要な工事です。
▶屋根工事費は、
屋根形状や勾配、使う材料などによって大きく左右されます。なお、総二階建ではない下屋のある住宅形状であれば、内訳比率は上記例よりも高くなります。
①下地工事
_1.野地板(枚)針葉樹合板t12等
_2.断熱材(枚)商品名・規格記載
_3.通気胴縁(本)18*45*4000等
_4.アスファルトルーフィング材(㎡)
②屋根葺き工事
_1.棟(M)
_2.軒先(M)
_3.破風(㎡orM)
_3.タテハゼ(㎡)ガルバリウム鋼板等
_4.玄関庇(式)
_5.窓庇(箇所)
③端部処理
_1.水切り(箇所)
_2.干渉部仕舞(式)
_3.竪樋(M)
_4.横樋(M)
④養生・運搬費(式)
etc
本体工事 05
金属製建具工事
金属製建具工事とは、外壁面における開口部を仕切る建具(いわゆる窓)で用いるアルミサッシや、玄関ドア、勝手口ドアの他、室内においても間仕切り戸として用いられる、木製ではない建具を全て含めています。
アルミサッシは木工事において窓枠が造作された後、速やかに取り付けられます。大工さんはサッシ枠が取り付けられたのを確認してから、内外壁においてボード建材貼りの作業に移ります。従ってサッシ屋さんは下見の段階で大工さんと何度も調整し、工程通りに納めるため期日まで該当する寸法のサッシを製作しておかなければなりません。
▶金属製建具工事費は、
その仕様による材料代で著しく変化します。樹脂加工や二重サッシ、外部シャッター付など、高品質・高性能な物をたくさん突き詰める事で、上記の工事費例をはるかに上回る可能性もあります。
①金属製建具工事(枚or箇所)
②養生・運搬費(式)
_1.アルミサッシ引き違い戸(箇所)
_2.玄関ドア親子扉(箇所)
etc
※部位、型番、寸法、形状毎に表記
本体工事 06
木製建具工事
木製建具工事とは、主に室内における開口部を仕切るための「引き戸」「引き違い戸」「開き戸」「折れ戸」などを製作・取付する工事です。尚、洋風の扉はまとめて建具と呼称しますが、日本古来の建具は「襖」や「障子」と分けて呼ぶ事もあります。
中には超高級品な無垢材を用いる建具もありますが、標準的な住宅では概ねフラッシュ戸と呼ばれる仕様となっています。フラッシュ戸とは表面が化粧合板で造られ、中が空洞になっている構造です。
なお、あくまで一例ですが既製品の建具の枠については大工さんが造り込みます。その施工費用は「3.木工事」に含まれ、材料費についてのみ本項目「6.木製建具工事」に含まれます。建具屋さんはその枠が取り付けられてから現地で寸法を測って製作に取り掛かり、製品が完成したら取り付けに来ます。
▶木製建具工事費は、
大まかな内訳として枠材の材料費と建具自体の材料・加工費・取付費で構成されます。建具は住まいの中で頻繁に目にするところなので、施主の要望やこだわりが強く影響される範囲でもあります。仕様や造りによっては上記の工事費例を超える場合もあります。
①金属製建具工事(枚or箇所)
②養生・運搬費(式)
_1.アルミサッシ引き違い戸(箇所)
_2.玄関ドア親子扉(箇所)
etc
※部位、型番、寸法、形状毎に表記
本体工事 07
ガラス工事
ガラス工事とはサッシや建具以外で開口部を仕切る時に用いる「ガラスブロック」や、「FIXガラス(はめごろし)」などで必要となる工事です。また、ガラス工事には特別注文の「鏡」についても含まれます。
住まいにガラスブロックやFIXガラスを用いると、デザイン性や意匠性が格段に向上します。そこまでこだわりを持たず、また鏡についても特に別注する必要が無い場合は、上記の工事費例はゼロとなります。
なお、浴室や洗面化粧台にも鏡は付いているし建具にもガラスを用いた仕様が多くありますが、これらは本項目「7.ガラス工事」ではなく、それぞれの対象工事にその代金が含まれています。従って特別なオーダーで追加でもしない限り当項目で計上はされません。
▶ガラス工事費は、
必要性の有無によって金額が変わる項目です。もし検討している見積書がせっかくの注文住宅であればデザインにもこだわりたいところです。後からやろうと思っても倍以上の金額が掛かる場合もあります。しかし一方で予算とにらめっこした時に真っ先に削られるのが、こう言った意匠性なのかも知れません。
①ブロックガラス加工取付(㎡ or箇所)
②FIXガラス加工取付(㎡or箇所)
③化粧鏡加工取付(㎡or枚)
④養生・運搬費(式)
etc
※サイズ・形状等の仕様について、それぞれ個別に表記。
ガラスブロックやFIXガラスは開閉が出来ない明かり取り専用となるので、どちらかと言うと、アルミサッシにプラスして選択する場面が多い。ちなみに同一の開口部にサッシかガラスかを検討する場合であれば、FIXガラスはアルミサッシよりも遥かに安く収まる傾向にある。
本体工事 08
防水工事
防水工事とはベランダやバルコニーに防水機能を持たすため、その床面と立ち上がり面に雨の浸透を防ぐ専用の塗膜を施す工事です。
木造在来工法で造られるベランダやバルコニーは、しっかりとした防水機能が無いと木部が腐食してしまい、雨漏りの原因になったりします。やがては構造上主要な木材にまで浸食してしまい、住宅の安全を脅かす事にもなりかねません。ベランダやバルコニーが快適なのは、こう言ったしっかりとした技術の裏付けがあるからです。
一方でベランダやバルコニーにはアルミ製等の既製品もあります。既製品の構造や仕様にもよりますが、一般的に既製品のベランダやバルコニーを取付ける場合はこの防水工事は不要となります。また、そもそもベランダやバルコニーの無い住宅プランであればこの防水工事の費用は掛かりません。
余談ですが、一般的にベランダとは屋根があるもの、バルコニーとは屋根が無いもの、と定義されています。
▶防水工事費は、
木造のベランダやバルコニーであれば必須となる項目です。材料代はその面積によって大きく影響を受けますが、施工手間については狭小面積だからと言って極端に安くなる訳ではありません。
①ベランダ防水下地処理(㎡)
②ベランダ防水塗布工(㎡)
③養生・運搬費(式)
etc
本体工事 09
タイル工事
タイル工事とは床面や壁面にタイルを貼り付ける工事です。近年、一般的な注文住宅におけるタイル工事の対象は、ほとんどが玄関土間ではないかと思われます。ユニットバスやキッチンパネル等の普及によって、昔ながらにお風呂やコンロ回りはタイル、というイメージが大分減りました。
ところが、やはりタイルの性能や見た目の美しさ、インテリア性を高めるデザインなどが再注目されています。室内のワンポイントとして、意匠性を高める空間造りとして、タイルの選択はおすすめです。
▶タイル工事費は、
選択するタイルの材料費と施工するその面積で変わってきます。特に重量のあるタイルを垂直面へ施工するプランでは、下地処理や接着手法に手間が掛かるので想像以上に値が張る工事となってしまう場合もあります。
また、100角未満の小さいタイルを選定すると、1㎡あたりに必要な材料と手間の量が増えるので、金額が跳ね上がる傾向にあります。どうしても小さいタイルを選択したい場合は、モザイクタイルの選定が予算に優しいです。
①タイル貼工
_1.下地処理(㎡)
_2.タイル材(㎡)
_3.タイル貼工(㎡)
②養生・運搬費(式)
etc
※施工する場所や部位の明記と、使うタイル製品の型番毎に表記される。
本体工事 10
石工事
石工事とは石を加工して取り付ける工事です。
石の種類は色々ありますが、一般的に「大理石」が最もイメージしやすいかと思います。玄関の土間やキッチンの天板、リビングの壁面など用途は様々ですが、いずれもデザイン性や意匠性に優れた趣味嗜好で求められる範囲でもあります。
▶石工事費は、
選択する材料と施工する対象面積によって、或いは目地をどの様に取るかで金額が変わってきます。例えば垂直面へ1枚物を取付ける場合は、材料費と取付費の両方で値が張ります。一方である程度のサイズに小さくした材料の場合は、加工費と目地処理が多く発生します。いずれにしても高額となりがちな石工事ですが、仕様の選択に石が無ければこの項目の工事費はゼロとなります。
①石材加工取付(㎡)
②運搬・養生費(式)
etc
※施工する場所や部位の明記と使う石材の種類毎に表記される。また、形状の小さい石材製品は単価が割高となる。(1㎡あたりに使用する材料が多くなるため)
本体工事 11
鋼製工事
鋼製工事とは金属等を加工して製作し、取付ける工事です。既製品であっても鋼製工事として分ける場合もありますが、本項の概要としては専門業者へ発注するオーダー品です。
金属と言っても各種様々ありますが、磁石でくっつく・くっつかないを問わず、一般的に鋼製工事だと捉えて下さい。(鉄・鋳鉄・鋳物・ステンレス・アルミ等々)
室内においては主に鉄製階段や手すりなどがイメージしやすいと思います。また、外部では鉄骨階段や物干し竿を掛ける金物なども当該工事に該当します。
※屋根材や外壁材、雨どい、その他付帯金物などは当項目には含みません。
▶鋼製工事費は、
快適な生活を送るために必要な物から、デザイン性・意匠性を高める為に設ける物まで様々ある項目です。前述までのガラスやタイル、石工事などと同様、選択をしなければ工事費は大きく下がります。
①設計費(式)
②製作費(式)
③設置費(式)
④養生・運搬費(式)
etc
※同形状の物が複数あれば単位は「箇所」や「M」となる。また、鋼材の使用重量を示す「t」で表記する場合もあり。鋼製工事は大抵がオーダー製品による物なので、専門業者ごとの見積単位が存在する。
本体工事 12
左官工事
左官工事とは主にモルタルや土を水で練り、壁面や床面に塗り均す工事です。
壁面では和室における漆喰壁や繊維壁などがイメージしやすいです。床面では土間や犬走の平面均しなどがこの項目に該当します。下地処理にモルタルやプラスター(接着剤)を用いて地均しと塗り重ねを繰り返し、表面を仕上げていく工事です。
左官屋さんの仕事は多岐に渡り、玄関アプローチの平面的な均しや打ち放しコンクリート表面の補修、「9.タイル工事」におけるタイル貼りも行なったりします。
▶左官工事費は、
基本的には職人の手仕事である「手間料金」です。もちろんモルタル等の材料代もありますが、その多くは対象面積について何人で何日で仕上げる事が出来るか、で算出されます。そしてその単位は概ね「㎡(平米)」です。垂直面と平面では必要な手間が異なるので、垂直面の方がどうしても割高になりがちです。
一般的な注文住宅における左官工事としては玄関土間や浴室ユニットバス設置前のモルタル均し、建物外周の犬走の施工と捉えて下さい。
①土間モルタル仕上げ(㎡)
②壁塗り〇〇仕上げ(㎡)
③養生・運搬費(式)
etc
※壁面は漆喰、モルタル等で単価が異なる。
左官屋は現場では引く手数多の職種である。同じ左官職人が「2.基礎工事」や「9.タイル工事」に登場したり、「13.塗装工事」や「14.内装工事」における下地処理を担当したりもする。
見積書を解読する上で注意すべき点は、それらの左官料金についてはその対象項目に既に組み込まれているということ。本項目「12.左官工事」とはそれらの左官作業とは切り離した工事である。
※ただし「15.住設工事」における浴室ユニットバス設置前のモルタル均しについては、本項「12.左官工事」に計上される場合もある。
本体工事 13
塗装工事
塗装工事とは塗料を対象物に吹き付け、あるいは塗り付ける工事です。
塗装工事を理解する上で必要となる知識が①対象物、②材料、③工法の3つです。
①対象物とは、
鉄部・木部・プラスティック・鋳鉄など様々あります。それぞれに適した塗料を選択しなければなりません。
②材料については、
塗料と一言で言っても油性・水性・弾性シリコン、多数種類があります。また、塗料がしっかりと塗布される為に必要な下地材(接着剤)も必要です。対象物に適した材料を選択する事で剝がれにくい、長持ちする塗装を行なう事が出来ます。
③工法については、
刷毛塗り、ローラー塗り、吹き付け、溶射、貼付けなどがあります。間違いなく塗布される工法と施工性を鑑みて工法が決められます。また、誤って塗布されてはならない場所を養生する事も必須です。選択する工法によって養生の度合・精度・頻度などが変わってきます。
注文住宅における塗装工事の主なイメージは、外壁塗装ではないでしょうか。しかし昨今は、リシン吹き付けなどの塗装がだいぶ減ってきており、外装材の多くが全面塗装を必要としないサイディング貼工に変移しています。しかし外部内部には塗装工事が必要となる箇所がいくつもあるので、金額がゼロになるという事はありません。
▶塗装工事費は、
対象物の種類や面積、選択する塗料、工法によって大きく変わります。また建物の外部内部において、木部・鉄部、破風・軒天など、面積よりも手間で算出される部位もあります。
なお本項「13.塗装工事」では、「3.木工事」に外壁サイディングを計上しているので、外壁の全面塗装は含まれておりません。従って外壁を塗装仕上げにするプランを選択した場合、上記参考比率や金額が倍以上に違ってきます。
①破風板塗装(㎡ or M)
②内部木部塗装(㎡ or M)
③外部鉄部塗装(㎡ or M)
④養生・運搬費(式)
etc
※塗装工事における項目は、①対象物ごとに、②塗料と③工法を明示して、数量と単価が記載される。
本体工事 14
内装工事
内装工事とは居室空間における壁・天井・床面に仕上げ材を施す工事です。
一般的に内装屋さんとは壁紙クロス貼り、床クッションフロア貼り、カーペット敷設、タイルカーペット貼りなどを行ないますが、本項目「14.内装工事」で示す内装とは、それ以外の仕上げ材も含めて表記されます。
例えば畳も内装材ですが、これは畳屋さんの工事となります。また天井の吸音ボード仕上げや壁の化粧合板仕上げ、床のフローリング仕上げは大工さんの工事となります。なお「3.木工事」には、これら内装工事分は含まれておりません。
▶内装工事費は、
内装材の選定で大きく金額が変わってきます。そして内装仕上げは下地造りから始まっているので、大概は「3.木工事」における下地の骨組みから関わってきます。工事が始まってからの内装仕様の変更は、工事全体に大きな影響を及ぼす場合もあります。
壁紙の種類を選び直す程度であれば、それほど大きな問題にはなりません。しかし急に「この壁面をタイル貼りにしたい!」とかになると、タイル貼り用の下地(ラスカットボード等、表面が凸凹してモルタルが付着しやすいボード)に取り換えなくてはなりません。
「内装仕上げは終盤の工事だから、工事が始まってからゆっくり考えよう」では、工程や予算的に大失敗の可能性があります!
内装仕様については当初からしっかりプランを練りましょう。
①壁クロス貼工(㎡)
②床クッションフロア貼工(㎡)
③天井クロス貼り工(㎡)
④ソフト巾木取付工(M)
⑤和室畳(帖or枚)
⑥天井化粧合板貼工(㎡)
⑦壁木質パネル貼工(㎡)
⑧床フローリング貼工(㎡)
⑨キッチンパネル貼工(㎡)
⑩養生・運搬費(式)
etc
※どの部屋のどの部位が何㎡なのか、材質や型番と合わせて表記される。尚、畳の場合は材質(ワラ、スタイロフォーム等)も記載。
考え方や思い違いのややこしい例として、壁面下地の石膏ボード貼りまでが大工の行なう「3.木工事」、その表面のクロス貼り仕上げからが内装屋の「14.内装工事」という解釈。しかし大工の施工する石膏ボード貼りは、内装の下地工事なので「14.内装工事」に区分される場合が多い。
本体工事 15
外装工事
外装工事とは建物の外壁を仕上げる工事です。
専門業者も数多く居ますが仕上げ材が窯業系・金属系のサイデイングであれば、一般に大工さんが施工することが多いです。また塗装仕上げであれば、塗装下地のケイカル板貼りが大工さん、塗装はもちろん塗装屋さんという流れになります。
外壁は屋根と同様、居住空間を雨風から守ってくれる大事な部位です。サッシ廻りや目地のコーキングをしっかり行ない、雨水の侵入を防がなくてはなりません。
また断熱材等の適性な施工をもって、住宅の気密性を高める工事でもあります。
▶外装工事費は、
選定する仕上げ仕様によって大きく変わってきます。デザインや質感、メンテナンス性も当然重要ですが、防火地域や準防火地域における耐火構造や準耐火構造の基準をクリアする外壁としなくてはなりません。
外壁工事では外壁仕様に適した下地工事と、仕上げ工事に分けて算出されます。
①外壁工事
_01.透湿防水シート(㎡)
_02.外断熱材(枚)
_03.下地胴縁材(本)
_04.窓廻り防水テープ材(M)
_05.サイデイング材(㎡)
_06.水切り役物材(M)
_07.出隅役物材(M)
_08.笠木役物材(M)
_09.施工費(㎡)
_10.目地処理コーキング(M)
etc
②軒天工事
_01.ケイカル板(枚)
_02.施工費(㎡)
etc
③養生・運搬(式)
etc
※使用材料のメーカー・型番・規格・数量を表記。
本体工事 16
電気設備工事
電気設備工事とは電気配線を行なう工事全般を指します。ただし電柱から敷地内への引き込みについては、電力会社が行うのでこの分は見積外です。
本項では電気使用メーターや分電盤の設置、コンセントやスイッチ、照明器具、エアコン、給換気などの室内電気設備に係る配線工事が該当します。
注文住宅においては天井裏や壁内に電気配線を這わすので、主に「3.木工事」の大工さんと進捗状況をよく打ち合わせして作業を進めます。壁内の所定の位置に配線をしないと大工さんの壁を塞ぐ作業が滞るので、工程にピンポイントで必要な工種です。
また各種電気設備との接続や、機械の動作確認も本項に含まれます。例えばユニットバスの浴室リモコンを繋ぐのも電気設備工事の1つです。
▶電気設備工事費は、
照明器具や電気設備機器の設置数によって金額が変わってきます。メインである配線工事の他、照明器具・空調設備・通信機器(インターネットやテレビ、BSなど)への接続工事があります。
①分電盤設置工事(箇所)
②配線工事(M)
③照明器具工事(個or箇所or台)
④空調設備工事(個or箇所or台)
⑤通信設備工事(Mor箇所or台)
⑥電力会社申請費(式)
※照明器具は平面図にアルファベット等の記号を付け、見積項目がどの照明器具を指しているのかを明確に記載される。また、メーカーや型番の表記もある。
電気設備工事費において、施主がその金額に最も驚くのが照明器具工事の部分である。そもそも素敵なブラケット照明やダウンライト等は商品自体が高額なのだが、相場感を持っていないせいで高額と感じる方も多い。
それでもカタログから自分でチョイスした照明器具であればまだ納得が出来るが、まだ何も選んでいない概算見積の段階で「電気工事費60万円、照明器具工事25万円」等と提示されると、大抵の人はその金額に驚く事になる。
しかしこれは住宅会社の親切心であると思った方が良い。電気工事費に対してそのぐらいの見立てが無いと、いずれ予算編成で行き詰る事になる。
本体工事 17
給排水衛生設備工事
給排水衛生設備工事とは建物内における水道・ガス・給湯・下水の敷設工事や、敷地内の浄化槽設置工事を指します。これらの工事後の姿は普段の暮らしでは目に付かない部分になりますが、生活には欠かせない大切な工事です。
本来設備工事は①給水管引込工事、②屋外給排水工事、③給排水衛生設備工事とに分けられますが、この内、本項目に示す範囲は「③給排水衛生設備工事」のみです。
①給水管引込工事とは敷地外の道路下に埋設してある水道本管を、敷地内の水道メーターまで引き込む工事です。宅地であれば既にここまで完了している場合が多いので、通常は注文住宅の見積書には含まれません。また仮に未施工だとしても、自治体や宅地の場所によっては工事費の助成もあるかも知れないので調べて活用したいところです。
②屋外給排水工事とは水道メーターから建物内への給水管工事と、建物内から屋外公共ますへ繋ぐ排水管工事とに分けられます。また、生活排水を集水する汚水ますや雨水ますの敷設工事もここに含まれますが、注文住宅の見積書において屋外給排水工事は、本体工事とは別の付帯工事に区分されます。
③給排水衛生設備工事とは建物内の給排水管、ガス管を敷設する工事です。キッチンやバス、トイレ、給湯器などが稼働する為の工事です。なお本項で示す比率例には、浄化槽工事は含まれておりません。
▶給排水衛生設備工事費は、
敷地内に来ている元栓(元菅)からキッチンや浴室、トイレの設置個所までの距離によって、金額が大きく変わってきます。つまり、距離が長いほど余分な工事が必要となるという訳です。距離が長いと配管が詰まる可能性が高まるので、勾配を確保する為に床掘を深くしたり大きな径の配管を用いる事になり、手間や材料代、申請手数料に影響を大きく及ぼします。
元々の敷地の状態と間取りプランとの相性によって工事金額が変わる工種です。
なお水回りの配管は、ある程度まとめた間取りプランとする事が原則です。水回り関係の配置が散らばっていたり、2階トイレが1階の水回りとは全然別の位置にあったりすると、それぞれ単独で給排水配管の敷設が必要となるので工事費が膨らむ要因となってしまいます。
①給水設備工事(M)
②排水設備工事(M)
③給湯設備工事(M)
④衛生器具工事(箇所)
_01.新設共有管分岐桝取付工事(式)
_02.給水管メーター廻り工事(箇所)
_03.給水管取出し接続(式)
_04.上下水道申請費(式)
etc
※水道局認定業者であれば、金額は施工数量によって極端な相違は少ないが、見積の出し方については様々ある。
浄化槽法により、下水道が整備されていない地域では”合併処理浄化槽”を設置しなければならない。市町村によって異なるが助成金制度もあるので調べてみる価値がある。
本体工事 18
空調設備工事
空調設備工事とはエアコンや床暖房などの冷暖房システムと、換気システムを合わせた空調に関する一切の工事を指します。一般に「16.電気設備工事」における業者と同一の場合も多いのですが、必要な資格要件や申請など全く異なった分野の工事です。
電気工事と同様に壁や天井がボード等で塞がれる前に、配管を施工しなければならない部分も多いです。また、排気ダクト等は長さや勾配を検討して取付ける重要な工事でもあります。
床暖房はまだちょっと贅沢なイメージもありますが、一般的なエアコンについては各部屋で能力不足にならない機械を選定したいところです。
▶空調設備工事費は、
選択する商品(機械・システム)そのものによって大きく金額が変わりますが、該当する居住空間の冷暖房や換気に必要な、或いは適した機械であるという点も考慮しなくてはなりません。特に1時間あたりの換気量については建築基準法による定めもあるので、設計段階から予算に関わってくる工事でもあります。
①換気工事
_01.レンジフード(箇所)
_02.排気ダクト(M)
_03.換気扇(箇所)
_04.取付工事費(箇所or式)
etc
②空調工事
_01.エアコン(箇所)
_02.冷媒配管(箇所)
_03.プラ製ブロック(箇所)
_04.取付工事費(箇所or式)
_05.真空気密試験(式)※試運転等
etc
③搬入費(式)
etc
本体工事 19
住宅設備機器工事
住宅設備機器工事とはシステムキッチンやユニットバス、トイレ、洗面化粧台などの住設メーカーによって作られる製品の設置や、埋め込みや造り付け等のユニット製家具(棚やテレビ代など)の設置工事です。
本稿の主旨である見積書の解読というテーマにおいて、最も分かり易い範囲がこの住設工事です。なぜなら選んだ商品の代金がそのまま見積金額を上下させるからです。
▶住宅設備機器工事費は、
概ね選択する商品代で金額が左右されます。よほど特殊な間取りで、一風変わった商品でも選ばない限り、取付費についてはそれほど差はありません。従っていかに安くお気に入りの商品を見つける事が出来るか(あるいは妥協できるか)が、予算のカギとなります。
また、一般に水回り商品(システムキッチンやユニットバスなど)については、どこの住宅会社へ依頼したとても定価の20%以上の減額は頑張ってくれるという印象です。各社によって仕切り価格に得意・不得意があるので、どのメーカー商品を安く入手できるのか、というのも検討のポイントとなります。
①システムキッチン(セットor台)
上記取付施工費(式)
②洗面化粧台(セットor台)
上記取付施工費(式)
③水洗トイレ(セットor台)
上記取付施工費(式)
④システム収納(セットor台)
上記取付施工費(式)
※メーカー、型番、サイズなど1台ごとに商品代と取付代が表記される。また、水栓金具などオプション品についても1つ1つ表記された内訳となる。
仕切り価格とは?
住宅会社がメーカーや問屋から仕入れる事が出来る価格。住設に限った話ではないが、カタログと定価のある商品では概ね「掛け率」を用いて取引される。例えば定価50万円のシステムキッチンを例にすると、A社の掛け率は65%で仕切り価格32.5万円、B社の掛け率は40%で仕切り価格20万円と言った様に、取引実績によってバラつきもある。住宅会社はこれに自社経費や利益を載せて、施主に提示する際には10%オフや20%オフと言った表示になる。
極論を言えば、メーカーが設定する定価次第のお話でもあるが、住宅会社が一番初めに提案してくるプランは、自社の利益率が最も高いメーカー商品である場合も多い。
本体工事 20
その他諸経費
その他諸経費とは住宅会社における現場管理費と一般管理費(会社経費)です。
現場管理費とは、現場と会社と業者との間で連絡調整が必要な施工管理としての人件費・連絡車・通信費などを指しています。
一般管理費とは、住宅会社の本店・店社における家賃・人件費・通信費・その他諸々の会社運営として当たり前に必要な経費全般です。
本項目「20.その他諸経費」には特に内訳は無く、概ね「一式」で表記されます。
注文住宅の10年保証を遂行する為に住宅会社はしっかりと利益を出して、10年後も会社として存続してなくてはなりません。会社には事務員や役員もいて事務所の家賃や光熱費など、様々な経費が掛かります。前述までの通り、各工事にかかる諸費用を個別に計上しているのであれば、会社として適性な経費率は10%程度と思われます。
まとめ:本体工事費の内訳項目と比較検討ポイント
注文住宅における「予算との戦い」は、おおむね「本体工事費」との戦い。
内訳項目1つ1つの意味を理解して、トラブルの無い工事着工を目指しましょう!
ただし、注文住宅はオーダーメイド!
個別に異なる見積内容を一気に理解しようとしても難しい話です。
事前に少しずつ、メモを取りながら、理想の住まいに必要な工事内容について確認を積み重ねることが大切!
『家づくりノート』を作ろう!
家づくりは長期戦!
まずはスロースタートで、じっくり検討する期間が大切です。
『家づくりノート』を作れば、
家族でイメージを共有しながら打ち合わせを進めることが可能!
- 要望や方向性の整理
- 資金計画
- 住宅会社選び
- 土地探し
- 間取り・仕様の比較検討
- 家づくりの希望条件、考え方を整理
- 家族で住まい方のイメージを共有
- 日程や期日など共有スケジュールを確認
- 住宅会社へ明確に伝えやすいくなる
▼家づくりノートの作り方をとことん解説!
それではぜひ、楽しいライフスタイルを !
To Be Continued …